香川・徳島旅行記 地方都市のわびさびと灼熱のから風呂編

ほどほどに文庫本を読んだところで、
トイレに向かった。歯を磨いてコンタクトレンズを
入れて用をたさなければならない。
およそトイレでできる全てである。

喫茶店の男子トイレはこの令和の時代にかかわらず
和式便所という昭和の力強さを備えていた。
あとなぜか松岡修造の日めくりカレンダーが
置いてあった。なぜ?


とりあえず男子トイレを出て、女子トイレの鍵が
かかっていないことを確認し、やや躊躇いながら
ドアノブを回した。

女子トイレは正しく令和然としており、
自動で開くしマウスウォッシュとかアメニティすら
置いてあるし今月のイベント予定〜なんてのまで
貼ってあった。この格差。松岡修造に謝れよ。


僕は全てを済ませて、
皇帝を後にして街をぶらぶらとすることにした。

たばこ屋なのか蒲鉾屋なのかわかりにくい
お店があったり、
(これは莨子という苗字の人がやっている
蒲鉾屋であった。わかりにく!)


カリモクのショールーム兼カフェという
やたらにおしゃれなお店があったり、
飲み屋街の脇道に突然天満宮があったりした。
財布に1円あったので投げ入れ、
この旅の成功を祈った。

そのほかにも
すごく好みな感じの看板のお店。
ユトリロってネーミングセンスもよい。
フォントでもう音楽会始まってる感じ。
滑るとか滑んないとかあんまり考えてないで
勢いだけで作った感じかすごくよい。
夜の音楽会、めちゃめちゃ参加したい。
(朝だったので当然やってませんでした)

蟹道楽に対抗したような店。
蟹にとどまらず船まで飛び出させたが、
テナント募集の張り紙が哀愁を加速させる。
串カツ屋にこんなことを言われてしまい、
力のない笑いが出てしまった。

するな、じゃなくて すな ってところが
脱力感あってよい。

でもぴりぴりしてる人は多分これ見たらもっと
ぴりぴりしちゃうんじゃないかな?

なんてことしていたら駅に着いたので、
そのまま鉄道に乗って"から風呂"の最寄り駅まで
ガタガタと揺られていく。
鉄道は圧巻の2両編成!
ぼーっと外を見ながら向かっていく。

すると僕の前の大学生風の女の子が
(飲み会の時だけ顔出すサークルの先輩と
セフレになってるけどそろそろ切ろうか検討
してそうな雰囲気を醸し出している顔)
僕の斜め左をちらちらと見ている。

なんだ?と思い僕も視線を向けると

財布。

ブランド物の長財布があった。
おそらく女性物だろう。

僕はそれを手に取って先頭の車掌に手渡した。
から風呂最寄り駅は終点のため、
バレずにせしめることもできたかもしれない。
(女子大生風の子が何もしなければ)

だが、そんなことはしてはいけない。
自分がやられたら悲しいことは決して
他者にもしてはいけないのだ。

そして僕はから風呂を目指して歩き始めた。

こんな光景を眺めながら30分ほど歩いて、
公民館みたいな建物に着いた。
ここがから風呂…

ここでから風呂の説明をしなければならない。


から風呂は日本最古とも言われる蒸し風呂だ。

その方法はとてもシンプルで、
岩の窯の中に薪を組み上げて、火をつける。
適当な頃合いで薪を崩して窯内に敷き詰め、
その上に塩水で濡らしたゴザを敷く。
数分待てば蒸しあがって完成。

サウナと違い、水風呂は無い。
サウナの整いとは別物だろう。

特筆すべき点は何より温度だ。
窯は熱い方とぬるい方に分かれており、
ぬるい方は70〜80℃ほどなのに対し、
熱い方は120〜150℃になるという。

それは人が耐えられる温度では無いのではないか…
肌が露出しているとやけどの恐れがあるため、
長袖長ズボンに草履を履き、ずきんをすっぽり
かぶった上から毛布で全身を包んで入り、
ゴザの上に座布団を敷いて座る。

この時点でなんらかの拷問ではないのかと思う。

さっそく窯に入る。
まずはぬるい方から。
ぬるい方はなるほどぬるめのサウナって感じで、
5分くらいでじわじわと身体の芯から温まって
くる感じがする。
そのまま12分ほど入って出た。
窯の前は休憩室になっており、そこにかぶっていた
毛布を敷いて寝転がって身体の熱を冷ます。

たしかにサウナの整いとは別だが、
窓から吹き込む風でゆっくりと身体が冷めていく
感覚は気持ちが良い。
扇風機の風と窓から吹き込む風の違いが
はっきりとわかる。

常連のおば様方が来て、おしゃべりしながら
入る。何回かぬるい方に入った後で、
あつい方にも入ってみる。

いよいよ、メインイベントである。

ドアを開けて身をかがめ中に入ると

熱!


となってちょっと戻ってしまった。

今まで経験した熱さの比ではない。

ムワッ…としたのがサウナだとすると
から風呂は

ジリッ!!!

という熱さがバチバチと身体にぶつかってくる。

なにくそ、もう一度入る。


熱い、熱すぎる。
おそらく130℃は軽く超えている。

入って30秒もしていないのに、
毛布を握る手がやけどしそうに熱くなる。
クッ…と思いながらなんとか毛布にくるまり
肌の露出を最小限に抑える。

眼を開けていられない。
眼球が痛む。呼吸がうまくできない。
タオル越しにヒューヒューと息を吸って吐く。

漫画とかでよくある焼けた時にヒューヒュー
言っているのはリアルなんだなぁと思う。

のも束の間限界である。
おそらく3分も経っていない。
しかしこれ以上はもう無理だ。
飛び出るようにしてドアを開ける。


そして爽やかな風が窓から吹き込んで…


その後何回かぬるい方に入って僕の
から風呂体験は終了した。

また行きたいかと言われれば首を傾げるが、
1度行ってみるのはいいだろう。

サウナーのみなさん、挑戦してみるのは
いかがでしょうか。



ps.やっぱり水風呂は欲しい。

今日も何かを間違えた

日々の中で間違えたこと ずれたことを綴ります。 岩崎キリン:iwa191cm@gmail.com

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