香川・徳島旅行記 物悲しいモーニング編

深夜バスで遠くに行き、大したことも
しないで1泊して帰ってくるということを
したい。とてもしたい。

夜行バスで行き夜行バスで帰る。
僕の腰骨は壊れないかな、不安。

とりあえず行き場所を決める。

いままで行った事無い場所に行こう。

 場所   距離   時間
1.島根  800km 12時間
2.徳島  630km 10時間  
3.岩手    540km 8時間
4.福井 500km 8時間
5.滋賀   440km 6時間
6.富山 350km 6時間  

友達の作ったあみだくじを
ツーツーレロレロとなぞると


2

ということで


着いた。

徳島ではなく香川なのは
あまりに徳島に何もなかったため
香川でうどんを食べて日本最古のサウナ
「から風呂」に入ってから徳島に向かうという
ルールすれすれの行為によるものである。

しかしいったい、誰がこの行為を責められよう。
誰も責められまい。
責めるのならば、問いたい。

あなたは徳島の何を知っているのか?
徳島で東京から来た若い男が1人で
充実した1日を過ごす方法があるなら、
ぜひとも教えていただきたい。

否、そんなものはありはしない。
よってこの行為を責めることはできない。
QED、証明終了である。


深夜バスの行程は覚悟していたよりも
スムーズであった。
三列シートの座席の座り心地は心地よいとは
決して言えないが悪いと断言するには
バス会社に申し訳ない気持ちになるような、
まぁ、こんくらいならなんとか深夜長距離バスと
しての体裁が保てるんじゃないか、
という絶妙なラインのものであった。


ならなんとかなったんだね、とあっさり片付ける
のはすこし早計である。


魔。


深夜バスには魔が潜む。


そう、深夜バスは
「前の乗客がどこまでリクライニングするのか」
この一点でその難易度が大幅に変わる。

私の前に座った30代後半と思しきリーマン風の
男は稀代の"リクライニングジャンキー"であった。

僕の方に一瞥くれると、
思い切り最大リクライニングを喰らわした。

なんてことだ。
角度にしてもはや140°。
このバス内の最大角度更新待ったなし。

遠慮という概念を母親の子宮に置いてきたのか?

僕の足はもはや入る余地が無い。
仕方がないので通路に放り出すしかない。

あまりの傍若無人な振る舞いに腹が立ったので、
僕は起きている間、8分に1回前のシートを
揺らしたり偶然を装ってシートをこづいたり
軽く蹴飛ばしたりした。
そのたび彼が居心地悪そうにごそごそと動くのを
見ていくらかの心持ちがマシになった。

僕はそのようにして
うたたね→シート攻撃→キングダム鬼読→うたたね
を繰り返したところ、どんどんうたたねの時間が
長くなる。はじめは1時間もすれば眼を覚ましてたのが1時間半になり、2時間になり、果ては
3時間もの間眠っていた。

やはり定時退社後マッハで筋トレ→ランニングが
効いたのだろう。やったぜ。

そんなこんなで、香川に辿り着いた。



海が近いので海を見る。
やたら大きいヤシの木のオブジェを見ながら
タバコを吸う。今まで吸ったタバコの中で
最も奇妙な風味を感じた。

さて、香川といえばうどん。
うどんと言えば香川なのでうどん屋に行く
うどん屋にパトランプみたいなのがくっついてる。
なんで?
ぶっかけうどんは充実の味であったが、
はなまるうどんが3.2だとするとこれは3.3。
うどんに大差はなかった。
でも350円でこれだから、ほんと職場の近くに
出来たら喜んで通うだろうなと思った。

まだお腹が空いていたので
物騒な名前の喫茶店へと入った。

昔ながらの喫茶店然としたいい感じの喫茶店で、
店員のおばちゃんのぶっきらぼうな感じも
いい味わいを生んでいた。

頼んだモーニングセットは
400円なんだからこれでいいでしょ?
っていう感じかありありとした。

注文した後にゆでたまごをプリンに変えられる
ことを知ってちょっとくやしくなったが、
モーニングを構成する要素としてゆでたまごは
必須なので、まぁ正しくはある。
栄養もある。

しかしこのゆでたまごは異様なまでに黄身が
偏っていた。これはつまり、沸騰したお湯に
卵を突っ込んでタイマーセット、ピピッとなったら取り出してはい、お終い。という愛情なき
ゆでたまごである。それは
400円だぜ?文句言われる筋合いなんかないね。
という両親の愛情不足故に性格が歪んでしまった
子供を思い浮かばせた。
なんだか、すこし物悲しいモーニングであった。

僕は一通り食べ終えるとコーヒーを
一口すすって文庫本を開き、タバコに火をつけた。




これが、休日のしかるべき姿だなぁ…

そんなことを思いながら、僕はページをめくった。





ps.夜行バスの車内を撮ったら、ブレてしまい
 本当に"魔"って感じになりました。



今日も何かを間違えた

日々の中で間違えたこと ずれたことを綴ります。 岩崎キリン:iwa191cm@gmail.com

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