香川・徳島旅行記 徳島のシティーハンター編

シャワーを浴びてから風呂を出ると、
「兄ちゃん徳島行くんだって?
 近くまで送ろうか?」
とおば様からお声をいただく。

天満宮での1円お賽銭、鉄道での財布渡しが
活きたのだろうか?
徳島行きの鉄道がある駅までは歩いて
1時間ほどかかるので、この申し出はまさしく
渡りに船であった。二つ返事でお願いする。

なんだかいつでも旅行に行くと誰かしらに
お世話になっている気がする。

逆の立場になったならしっかりと
返していかなきゃなぁなんて考えながら、
車に乗せてもらった。

30分くらいの道中、車内では気軽な会話を
ぽんぽんとした。ヒッチハイクしていた頃を
思い出す。やはり西日本の人は喋る性質が
東日本のそれとは比べ物にならない。

会話が途切れないまま徳島の隣の隣の駅まで
送ってもらう。最後までお互いに名前も
名乗らなかったけど、とても心地よかった。


そして徳島へガタゴト。
徳島でまずはお土産を買う。
部署には言ってしまったのだ。

パッケージが可愛いお菓子を買って終了。
3分ほどで終わった。

まずはご飯だ。
徳島はラーメンが有名らしい。
ちょっと名前が知れているラーメン屋へ。

5時過ぎという半端な時間帯もあって、
店内はガラガラであった。
ラーメンとライスを注文。実食。

ラーメンは美味しかった。博多ラーメンのような
細麺に甘めの豚骨醤油がマッチしていた。

しかしライスが絶望的であった。

保温されすぎたのか、パサパサを通り越して
バサバサボソボソとしており、すこぶる不味い。

いくらなんでも、盛る時に気づくはずだ。
とすると、この売れないバンドマンのような風体の
店員は気付きながらこれを供したのだ。
許せん。

ラーメンは美味しいけどライスが絶望的に不味かったため、星1!残念です!!

僕は心の中で食べログレビュアーのような
コメントを叫んだ。


また時間が空いた。
それと同時に、シャツが足りないことに気づいた。

このままでは汗を吸いまくったこのアシックスの
ロンティーで深夜バスに乗り込むことになる。

それは避けたい。
服屋に行こう。

SOGOが駅近にあったので入る。
ロクな店がテナントに入っていない上に、
なんだか干物のような匂いがしている。
THE地方都市のショッピングモールだ。

どうせなら私服で着るやつを買いたい。

しかし、どうにも良いものがない。
一瞬これを買うか悩んでしまったが、
すぐにその考えを打ち消した。
いくらなんでも、いくらなんでもだ、これは。


結局何も買わずに出たところで、
駅ビルにヴィレッジヴァンガードがあることを
発見する。
徳島にヴィレッジヴァンガード?
えらいアンマッチな気がするが、
ヴィレッジヴァンガードなら安いし
映画Tシャツとかもある。
よし!
向かった先は確かにヴィレヴァンなのだが、
なんだかヴィレヴァン感が非常に薄かった。

無駄に店内にスペースがあったり今ひとつ
配置が決まってなかったりして、いかにも
"徳島にヴィレッジヴァンガード置きました"
感が出ていて笑えた。

ゴーストバスターズのシャツを購入して
お茶を濁す。でもこれもなかなかダサいぞ。

僕の好みの35%くらいを押さえた女の子が
ヴィレヴァンには出現するのだが、
徳島ではそんなことなかった。徳島イズム。

その後ビールを飲んだりして
シーシャ屋の開店まで時間を潰した。

シーシャでは店長と思しき三つ編みの男と
金髪ボブの女がとてもダウナーに接客してくれた。

2人の間に会話はなく、僕も話しかける気なんて
まったく湧いてこなかった。
彼らに話しかけるくらいなら
電信柱にでも話しかけると思わせるくらい
気怠さを充満させていた。

そんな居心地の悪い空間で作られたシーシャは
順当に美味しくなかった。味、煙、共にまるで
足りておらずなんだかシーシャではなく別の
煙を味わっているようだった。

店長風の男は自分のシーシャを短く吸っては
一息で吐いてまた短く吸っては一息で吐く
という独特のスタイルで吸っていた。
まるで過呼吸のチンパンジーだ。
シンプルにうるさい。

そんな男の作るシーシャが美味いはずがない。

僕はうんざりしながらジンジャエールを飲み干して
会計をし、店を出た。

さて、これでこの旅行も終わりだ。
トイレで歯を磨きコンタクトを外して眼鏡をかけ、
デオドラントシートで身体を拭いてシャツを変え、
駅のバスターミナルへ向かった。


駅前に近づいた時に、何やら音楽が聴こえた。
ストリートミュージシャンか?

待て、なにやらこの音楽は聞き覚えがある…


「Get Wild」だ!

シティーハンターの主題歌として名高い
TMレボリューションの名曲だ。

なぜ、徳島でGet Wildが…?

そこには、小太りのシティーハンターがいた。

半袖ボーダーのシャツを着た小太りの男が
Get Wildを熱唱している。
しかもTMレボリューションはバンドでないため、
彼はただカラオケverを大音量で流して
熱唱しているだけだった。


僕は笑いを堪えながら、聞き耳を立てた。
1番のサビが終わって2番に移るところだった。

車ぁのライトにフフフ投げぇてはぁ〜
車道で……ぁの娘ぉ!


こいつ…



2番を知らない…!!




しかもあんま上手くない…

僕は笑いを隠せなくなり、爆笑しながら
バスターミナルに走った。


徳島のシティーハンター、
彼はなぜあんなところで全力カラオケを
していたのだろう。
しかも、2番知らないのに…



全ての思い出が彼にもっていかれてしまった。

フォーエバー、シティーハンター。
グッバイ、シティーハンター。



ps.今から自宅のベッドで熟睡することを  
 想像してちょっとテンションが上がってます。
 なお、現在は三重県を走行中、東京まで
 残り6時間です。



今日も何かを間違えた

日々の中で間違えたこと ずれたことを綴ります。 岩崎キリン:iwa191cm@gmail.com

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