外では雷が鳴っていた。
僕は一年後の僕の姿を想像した。
たぶん今と同じようにバスパンを履いて、
エアコンの効きが悪いこのアパートに
いるんだろうなぁ。
そのままずっと時が過ぎていき、
僕は老人へとなっていくのだろうか。
なんとなく背筋が寒くなる思いがする。
それは恐ろしい。
でも打開する気もしたいともあまり
思わないのはなんでだろうか。
なんていうか、真剣さが足りないんだ。
僕は僕の人生にあまり真剣でない気がする。
先日友人に誘われセミナーに行った。
講師の話を聞いて、人生を考えるという
目的のものであった。
開始10分くらいで、僕は真剣に聞く気が
なくなってしまった。
なんていうか、温度差がすごいんだ。
周りの人たちはまっすぐな眼で講師の
話を聞いている。
講師は自分のことや社会のことを話す。
その話し方がまた人を自然に煽るのだ。
幸せに生きよう、自由に生きよう、
世界は確実に進歩している、
ということをキラキラ話す。
聞いているみんなもいつの間にか
キラキラしている。
キラキラが溢れている。
大宮の小会議室の中で。
そうなると僕はもうだめだ。
全く言葉が耳に入ってこない。
aikoのキラキラを頭の中で
再生させている内にセミナーは終わった。
その後は流れて飲み会となった。
僕は講師の人の隣に座ったのだが、
よっぽどこの飲み会の方が気楽だった。
時折キラキラがちらついていたが、
そんな時はビールを飲んでぼーっとしていた。
僕が話す時はキラキラというか
ふにゃふにゃしていて、よく聴き返される。
「え?なんて?」とか。
あの会議室の空気を僕は持つことが
おそらく一生できないだろうけど、
それでもかまわないと思う。
ふにゃふにゃをパキッをいつか
させることができればそれでいい。
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