父は本がとても好きで、広くも無い家に本棚が たくさんあった。
小説やエッセイなども多くあったのだが、
とりわけ多かったのは漫画である。
全盛期は2000冊以上の漫画が家にあったと思う。
僕は漫画に囲まれ、漫画を読んで育ったと言っても過言ではない。
ここでは僕が影響を受けた漫画を紹介したい。
①【大甲子園】室戸義塾高校戦 犬飼知三郎
家にはドカベンが全シリーズ揃っており、
中でも僕は 犬飼知三郎が好きだった。
弱小高校を頭脳派エースが引っ張るという流れが もうたまらない。
圧倒的に総合力で明訓高校に 劣るのだが、
飄々と淡々と抑えていく知三郎の 魅力はすさまじい。
山田が里中と知三郎を比較して、 「情熱を内に秘めるのが知三郎」と評している。
それを読んで僕は、情熱は表に出すものではなく
内で燃やすものなのだ、と思い以降陰キャラの道を
歩んでいくこととなる。
また、9回室戸義塾1点ビハインドの場面で
殺気を 放っている知三郎もとても格好良い。
以降僕はクールキャラがクールを捨てるシーンフェチとなる。
②【スラムダンク】山王戦
山王戦は10回以上読み返したが、
読み返すたびにいいなぁと思う箇所が増えていく。
小さい頃はリョータと花道のアリウープや
ミッチーのスリーとかに目がいきがちだった。
歳を重ねると、桜木のダンコたる決意の下りや
河田とのマッチアップにグッとくるようになった。
最近読んだ際には、みんなの念をもらった桜木が ヤマオーは俺が倒すと言い、
その後の これで勝つしかなくなったぜ と言い放つ
一連の流れに泣きそうになった。
特に念をもらってから机に上がるまでの
桜木の心情描写は非常に心に響く。
読む度に何かを学ぶことができる。
③【幽遊白書】17巻
幽遊白書は味方・敵ともに魅力的に描写されている。
感情、気持ちを丁寧にさらっており
それぞれのキャラの 輪郭がくっきりと浮かび上がっている。
中でもこの17巻はそれが顕著に現れている。
仙水編終了から魔界編突入までがこの巻に描かれている。
仙水編の登場人物のその後から
幽助・桑原・蔵馬・飛影が それぞれ別の方向に進んでいく
流れとなっており、 僕は幽遊白書のストーリーはほぼこの巻で終わったものと 考えている。
それぞれの葛藤や切なさがひしひしと伝わってきて、
「センチメンタリズム」を初めて感じたのがこの幽遊白書 17巻だ。
その後僕はさまざまな本から
センチメンタリズムを拾ってきては どっぷり心まで浸りきり、
センチ酔いどれ男となった。
僕は本が好きで、その原点は間違いなく漫画である。
さまざまなことを教わったが、
しかしそれで僕が 立派になったかと聞かれれば
そんなことはなく、 クールぶったおセンチ野郎とあいなってしまった。
何を間違えたのだろうか。
まぁいいか。
これでいいのだとえらい先生も言っていたし。
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