アホな考えごと

◯カプセルホテルにて


先日はサウナ付きの
カプセルホテルに泊まった。
僕は何度かカプセルホテルに
泊まったことがあるが、
たまに泊まるとなんだかいい気分になる。
いくつものカプセルが無機質にならぶ
空間は、働き蜂が休む蜂の巣みたいで、
なんだかおもしろい。

カプセルホテルに泊まる客は大体
3パターンに分けられる。

1 疲れたリーマン
先日の僕である。
くたくたのワイシャツとビジネスバッグを
手にややうつろな目をして受付を
しているのがこの手合い。
眠ってるんだか死んでるんだか
わからない状態でぬるめの風呂に
長時間浸かっていたりする。
終電を逃したほろ酔いリーマンの
タイプもいる。

2 大学生および旅行者
比較的エネルギーを持って
カプセルホテルに入るのがこのグループで、
休憩室で騒いでいたり、漫画コーナーで
ずっと漫画を読んでいたりする。
うざったいと思う反面、
過去の自分をこんな時があったなと
なんだかしんみりさせられる。
サウナでわやわやしている奴らもいて、
うるせぇんだよとサウナマットを
投げつけたくもなるが、そんな気力も
度胸も僕にはない。

3 謎のおっさん
これがカプセルホテルの宿泊者の
半分くらいを占めているのではないか。
館内着が1番似合う人達。
外見から仕事がまったく想像できないが、
なんとなくサラリーマンの様子はない。
競輪で1発勝って、スナックでクダを巻いて
そのままカプセルホテルにイン、した
日雇い労働者、といった風情。
朝の7時からサウナをかまして
ビールを飲んでいたりする謎の
ライフスタイルは、すこし羨ましくもある。
休憩室で爆睡したり、アラームを
止めずにずっと流しているのもこの
あたりの人たちが多い気がする。

カプセルホテル宿泊者には全体的に
「フレッシュさ」みたいなものが
まったくなくて、それが僕を安心させる。

カプセルホテルの宿泊者で
事業を展開させたら、間違いなく
1ヶ月と経たずに潰れると思う。

リーマンは死んだ顔で成果の出ない
外回りを繰り返し、
大学生は答えのないブレストを永遠に
熱っぽく続けて、
おっさんは朝からビールを飲む。

地獄みたいな会社だ。
働いてみたい。



◯本屋にて


先日本屋で文庫本を買った。
500円の図書カードが2枚あったので、
それを使用するため、というのが
6割くらいの目的であった。

770円(税込)の文庫本を手に、
僕はレジに並んでいた。

ふと、1枚だけ使った方がよいかも…
という気持ちが頭に浮かんだ。
500円未使用の図書カードが財布に
入っているのは悪くない気持ちだが、
230円のカードが入っているのは
なんとも言えない気持ちである。
下手したら、使わない可能性もある。

それに、なんとなく図書カードで
本を買うという行為が
良い気分にさせるような気がする。
500円の未使用カードがあることで、
また本屋に行き本を買うことに
積極的になれる。
本屋で本を買う男、いいではないか。
大きい声では言えないが、
ちょっと格好いいのではないか?
少なくとも、僕の周りに本屋で本を
買っている男はいない。
そもそも本屋に行く男もいない。
なんて非文化的な男達だ。

そんなことを思いながら財布を見ると、
小銭が入ってなかった。
僕は躊躇わず2枚のカードを使った。
いったいさっきの逡巡はなんだったのか、
まったく格好の悪い男である。

対応した女性店員は、機械のように
接客をしてくれた。

使い終わったカード処分してよいですかー
残高230円残っておりますー
ポイントカードはお持ちですかー
かしこまりましたー
ありがとうございますー
お次のお待ちのお客様ー

すべてに力のない長音符が付いている。
(長音符とは ー のこと、今調べた)
おそらく1日に100回近く同じ言葉を
喋っているのだろう。彼女は
接客マシーン .ver本屋になっていた。

素敵だ…。
ぜひそのままの対応で接客を続けてほしい。
強盗がきても変わらずに、

レジのお金ですねー
かしこまりましたー
こちらになりますー
カバーはお付けいたしますかー
ありがとうございましたー
お次のお待ちのお客様ー

と接客してほしい。
するわけないんだけど。
というかお金にカバーってなんだ。

反面、プライベートの時の彼女が
どんな人間なのかも気になる。

友達と会う時や恋人と会う時は
全く違う顔を見せるのだろう。
長音符も〜に変わるのだろう。
でもたまに接客モードが出てほしい。

お昼ご飯はパスタがいいー
ママーのやつが余ってたよー
めんつゆとバターで和風でいいー

なんだか、ファブルみたいになった。
まぁ、ファブルみたいな女の子が
いたらそれはそれでアリだけど。
改めて節操のないじぶんである。




今日も何かを間違えた

日々の中で間違えたこと ずれたことを綴ります。 岩崎キリン:iwa191cm@gmail.com

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