幸福で温かな土曜日 

トンビが霧に包まれた雲から飛び出して
ゆっくりと僕の視界を横切っていく。

シジミチョウが睦まじくひらひらと飛び交う。

トンボが栗の木の枝に止まって
その羽を休めている。

太陽は気まぐれに顔を出しては
また分厚い雲の中に姿を隠し、
またひょっこりと現れる。

シーシャの煙は風に柔らかく運ばれて、
流れるように山の空気と一体となる。


iPhoneからはボサノヴァが流れる。


僕の1番好きな時間の過ごし方のひとつだ。


みんなよりすこしだけはやく起きて、
この長閑さを一人占めする。


数時間前まで雨の降りしきる中を
レンタカーで走っていたなんて信じられなくなる。

ここに来るといろんなことを確認できる。

雲の流れ方がひとつひとつ違うこととか
雨の降る音を奏でる木があることとか
驚くほど雑草が早く伸びることとか
鳥の声や葉のこすれる音や虫の鳴き声が
心を静かに休めることとか
そんな些細なことを確認して
僕は動物としての人間を取り戻す。



それと同時に、社会の中での僕の存在も
改めて確認できる。



人間は動物だが、最も動物の理から外れた
動物もまた人間だということを、
コインの裏表を確かめるようにシンプルに
確かめることができる。

バランス。
僕は僕のバランスを保つことができる。

友人がいて良好な関係性を築き、
それによってこの時間を享受している。

つまり僕は僕以外の存在によって
僕の存在を確固たるものにしている。
それが社会に生きるということだ。

そしてそれはとても幸運な偶然が
積み重なって起きたことだ。

僕が言った些細な言葉が誰かの心の
どこかしらの部分に引っかかって、
誰かは友人となり、また友人が友人を生む。

くどくどと書いたけれど、結局のところ
要約すると

仲の良いみんなのおかげで僕はとても幸せで
そのおかげで1人の時も寂しくないのです。

引っ込み思案で内気な自分が
数年後にこんな温かな時間を過ごしてるなんて
想像もしていなかった。

いつか僕が本当の孤独になって死のうとも、
この暖かさを胸に抱いて死ぬと思う。


もう、それだけで
どう転んでもハッピーエンドです。



7/18 沼田の山荘で木漏れ日を浴びながら




ps.これはかなり痛くてキツイので
 僕がいる時に決して口にしないこと。



今日も何かを間違えた

日々の中で間違えたこと ずれたことを綴ります。 岩崎キリン:iwa191cm@gmail.com

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