①プール
秋の夜にプールを見たくなる。
落ち葉がプールに積もって、夏の爽やかさが
消え失せている。
瓶ビールなんかを持ち込んで、
その時の気分の音楽を聴きながらボーっと見たい。
校舎の裏にあった小学校のプール。
何気なく目についてたあの光景を今こんなに
見たくなってるのは不思議だ。
②深夜の雑居ビルの光
深夜の雑居ビルの光を見ると、
心に不思議な感情が沸き起こる。
こんな時間にまで頑張ってるんだな、
あそこのコンビニで夜食とか買うのかな、
一緒に残ってる同僚とくだらない会話とか
しながら終わらない仕事に手をつけてるのかな、
なんていろいろ思う。
仕事をしてる人がいて、それを認識外から見てる
僕がいる。
そんな感じが妙に心地よい。
③キッチン
深夜にはキッチンがよく似合う。
リビングでも、洗面所でもなく、キッチン。
キッチンの明かりだけつけて、
水を飲んでタバコに火をつける。
換気扇の紐を引っ張る。
換気扇がバタバタと回る音がする。
タバコを吐く。煙が上がる。水を飲む。
暗いリビングを眺める。
静かなピアノクラシックを流す。
曲が終わるころ、タバコを消して水を飲み干し、
ベッドに向かう。
④自転車で坂を下る
自転車で坂を下る時、次の季節の香りがする。
風を切っていると香りが思いっきり
飛び込んでくる。
その時に次の季節の香りがする。
大学生の頃、自転車で川を越えて駅に向かっていた。
橋から下る時のその空気を今でも思い出せる。
爽やかさと1日が過ぎる嬉しさと、少しのセンチメンタルを受け止めて家に帰る。
今度実家に帰る時はその道を通ろうか。
⑤オール明けの朝陽
オールをした時の朝陽がたまらなく好きだ。
うわ、明るくなってるよ、
なんて誰かが言って、
穏やかに容赦なく朝陽が飛び込んでくる。
それを一身に受けて、始発で家に帰って
そのまま眠り込む。
友達の家で、カラオケで、居酒屋で。
そんな日々はたまらなく愚かで輝いていた。
⑥合格発表
大学の合格発表は8時だった。
僕はその日5時に起きた。
なんだかベッドから起きてリビングに行くのも
すごいそわそわしているみたいで嫌だったので、
ベッドでゴロゴロしながら携帯をいじっていた。
(すごいそわそわしてたんだけど)
自己採点の結果の感じだとほぼほぼ合格は
安定していたがそれでもそわそわしていた。
8時になって、大学のサイトで合格を確認して、
安心して二度寝して9時ごろ起きた。
家族に
「合否見る?」
と言われ、
「合格だったよ」
と返す。そわそわしてたことを茶化される。
のんびりと朝ごはんを食べてテレビを見た。
母親も父親もどこかゆったりしてて、
あぁ、合格して良かったな、とその時に
心から思った。
夜は寿司を食べてチューハイを飲んだ。
幸せな1日だった。
⑦解散
高校生の頃、僕ともう3人の友達でしょっちゅう
つるんでいた。
大概しょうもないことをしていた。
たまらなく楽しかった。
僕は大学進学が決まり、1人は浪人、1人は就職、
1人は変わらず仕事を続けることとなった。
それはこれまでの集まりが終わる事を意味していた。
いつも溜まっていた公園の前のガードレールで、
夜明けにぐだぐだとしていた。
冗談めかした別れの会をやって、
いつも通りにヤニ臭い身体を引きずって帰った。
ベッドに入った時、浪人からメールが来た。
楽しかった、また落ち着いたら会おう、
みたいな内容だった。
それに触発されて僕もそんな内容のメールを書いた。
他の2人も書いた。
一通り読んで、目を閉じた時に涙が溢れた。
終わることの悲しさを感じながら
眠りについた。
ps.楽しかった日はベッドで1日をおさらいして
ニヤニヤしながら眠ります。
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