アキアカネが翔び交う。
夏。
まごう事なき夏である。
入道雲と蝉の声ーなんて使い古されてチープな
表現も、いざ体験すると輝かしい一瞬となる。
子供は夏に大人になり、大人は夏に子供になる。
そんなことを晃一くんは言っていたが、
なるほど納得である。
日常のあれやこれやが詰め込まれて
凝り固まった頭の中にすっと夏の風が
入り込んで、クリアになっていく。
何も考える必要のない時間。
目の前には農地。
奥には名前もわからない山々。
僕たちだけしかいない。
僕たちだけの時間が流れる。
だらだらと目を覚まして、
インスタントのコーヒーを飲み、
トーストにハムとチーズ、目玉焼きを乗せて食べる。
そのままゆるっとシーシャを吸って、
暑くなってきたら川へ向かう。
はしゃいであそんで、落ち着いて、
またシーシャ吸って、さっと片付けて。
戻ってまただらっと飯を食べて、
ぼーっとして。
何もない時間。
ただただシンプルで、豊かな時間が
静かに静かに過ぎていく。
些細なことで笑って、
意味のないことを喋って、
話が途切れれば、風がタープを優しく叩く音が
心地よく耳に飛び込む。
子供とは言えない。
でも大人というにはまだ幼い。
この輝かしく不安定な時間を
心の中強く強く刻み込む。
モラトリアムの夏休み。
ひぐらしが鳴いて夏の終わりはもうすぐそばに。
ps.悪魔のおにぎりに悪魔感をぜんぜん感じないの
僕だけでしょうか?
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