僕はいろいろなことに興味を持つ。
聞きなれない言葉、知らないスポーツ、
初めての音楽…
わからないことは調べて、
自分の中に落とし込む。
子供の頃の怠惰な自分を今、
取り返したいのかもしれない。
勉強もそこまで、運動もからきしだった
僕は無気力な子供だった。
唯一輝くのが長座体前屈。
クラスで一番の距離を誇った。
小太りの体がぐねっと前方に倒れる。
でこが膝にくっつく。
腕はぴーんと伸びる。
年に一度の長座体前屈。
スポーツテストのグラフは
長座体前屈だけ突出する。
「うわっ」「やらかっ」「きもっ」
などなど反響を浴びた。
悲しい。悲しすぎる。
小太り長座体前屈マン。
そんな悲しい思い出を反動として、
今僕は身体面・知識面ともに
磨きをかけようとしている。
そのため、どんな知識も吸収しようと
思っているのだが、やはり世界は広い。
だれがこんなものに手を出すんだ、
というものがたくさんある。
たとえば図書館。
僕は図書館のホームページをよく見る。
新着資料を検索したり、
ＣＤを探したりしているのだが、
中には不思議な資料がある。
【応仁の乱 （朗読）】
誰が借りるんだこれを。
本なら分かる。ＤＶＤなども分かる。
たぶんＮＨＫとかＢＳでやってるやつだ。
だがＣＤだ。それも朗読。
応仁の乱の朗読。
いつどんなときに誰が聞くんだよ。
再生時間は２９分。
長いのか短いのかもよくわからない。
乱って３０分でまとまるもんなの？
それって昼休みに中学生男子が
わちゃわちゃするのと同じレベルじゃない？
応仁の乱は中学生男子達の
わちゃわちゃだった…？
だがしっかりと借りている人がいる。
需要はあるようだ。
【美しい型で１００の戦いに勝つ！
カマキリ拳法】
カマキリ拳法。蟷螂拳である。
バキを読んでいる人や、
カンフー映画を見ている
人ならご存知だろう。
だが、実践するだろうか？
普通の成人男性が、
強くなりたいと願ったとして
まずカマキリ拳法を選ぶだろうか。
よしんば強い男性が更に
武術を極めんとして、
カマキリ拳法を選ぶだろうか。
僕には想像できない。
カマキリ拳法という選択。
amazonの商品説明には
なぜカマキリ拳法は実践で強いのか!?
著者は人気格闘技イベント・巌流島で、
カマキリ拳法の使い手として活躍する
瀬戸信介氏。
あらゆる格闘技・武術に通ずる
カンフーの動きの基本から、
カマキリ拳法の実践技まで
余すところなく大公開!
強くて美しい身体操作が身につきKO連発!
とある。
もし僕の家にこれがあったらどうだろう。
友「これ何？」
僕「カマキリ拳法」
友「できんの？」
僕「できるよ。」
友「やってみてよ。」
おもむろに演舞を始める僕。
黙って見つめる友。
一連の流れが終わり、
静寂が僕達を包む。
友は適切な言葉を捜したが、
見当たるそれはなかったようで、
力ない笑みを浮かべるだけだった。
僕はそんな友にカマキリ拳法を
叩き込み、気絶させた。
カマキリ拳法は友達を気絶させて
しまうため、持ってはならない。
好奇心は猫をも殺すというし、
興味もほどほどにしとこう。
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