どうも最近あまりツイていない。
パンクを直しに修理屋へ行った帰りに
再びパンクをしたり、雨が降ってきたので
折りたたみ傘を差そうを思ったら、差した瞬間骨組みが
折れたり、埼玉県新白岡在主S木君に予定をキャンセルされたり。
どうにもさっぱりしない事も多いので、
髪を切ることにした。
もう10年近く通っている美容院なので、
注文も非常に楽だ。
「夏が苦手なんですけど、夏が苦手な奴が夏を頑張る感じで」
と自分でも意味のわからない注文をする。
「2018・夏・苦手ね。かしこまり」
と快諾してくれる。
おそらく何もわかってないだろうが。
女性のスタッフがシャンプーしてくれるのだが、
「もうエアコン使ってます?エアコン苦手そうですよね?」
といきなり聞いてきた。
この人は客のことをエアコン苦手・得意でカテゴライズ
しているのだろうか。
ちょっとおもしろいので乗っかってみた。
「苦手です。」
「やっぱり!私もなんですよ!」
なるほど。
共感から会話を広げていきたかったのか。
この美容院のエアコンは奇しくも僕の家と
同じエアコンであった。
「このエアコンのリモコンに風ないスってボタン
あるじゃないですか。あれってどんな機能なんですかね?」
「そんなのありました?」
沈黙。
会話が終わった。
希代の会話下手である僕の類稀なセンスが爆発して
しまったようだ。でも気になるんだよ。
風ないス。スだけカタカナなのも気になる。
ぜんぜんナイスじゃないし。
よくこれで企画通したなと思う。
やっぱりこういう真新しい機能を付ける際には
企画を何本か出して、詳細に効果やコストを計算するのだろう。
そして重要な名前の段になって、大コケ。
大方役員連中の昭和センスが爆発しちゃったんだろうなぁ。
とか想像する。
でも嫌いじゃない。
むしろちょっと好きだ。
風ないス。使うことはないス。
そんなこんなで仕上がった髪形は
僕の理想とは程遠いものであった。
大体美容師はなぜあんなにチャレンジングなセットを
するのだろうか。
いいなぁと思うセットにしてくれる確率は5%くらいだ。
10年通って気に入らない髪形にしてもらう率95%。
美容師は常に原宿の心持なのだろうか。
ここは赤羽。
居酒屋とおっさんとゲロの街。
そこんとこも配慮してほしいものだ。
美容室を出ると僕の胃袋が炭水化物を欲して
鳴いている。
ここんとこ質素な食事しかしていなかった。
行くしかない。
やよい軒に。
折よくチキン南蛮定食100円引きであった。
頼むしかない。
テーブルに着席し、軽く回りを見渡す。
やよい軒は米をひたすらに食らう場。
どれくらい食べそうな奴がいるかをチェック。
右には体育会系の学生。左には土方デブ。カウンターには
リーマン・学生・おっさんおっさん。
デブが食いそうだな。
殺伐とした店内に、中学生の声が飛び込んできた。
「13名行けますか!」
行けるワケねぇだろ帰れ。
アピレのマックにでも行ってろ。
ここは米を食う場所だよ。
さてチキン南蛮定食が運ばれてくる。
5切れのチキン南蛮と冷ややっこ、みそ汁。
そしておかわり自由のおしんこ。
こいつらでどれだけ食えるか…
それがやよい軒というバトルフィールド。
まずはチキン南蛮を一口、ごはんをほおばり、
併せておしんこも食う。
冷ややっこを一口、ごはんをほおばり、おしんこを食う。
あっさりと1杯目を食べ終わり、
おかわりを盛る。(大盛り)
僕の後ろにデブがおかわり待ちしていた。
ほう。
お手並み拝見といこう。
デブはとんでもない量のごはんを茶碗に詰めていた。
漫画みたいになっている…
おかわり一回突破スタイル…
ハイブラ一点投入コーデのような潔さがあった。
健康診断では確実にE判定だろう。
BMI、コレステロール、内臓脂肪、肝臓…
いったいいくつもの数値を無視して米を食らっているんだろう。
間違いなく奴はやよい軒の常連。
やよい軒が生んだモンスターだ。
10分後、僕は4杯目のおかわりを食べ終え、腹9.4分目だった。
隣の体育会系はスマホでメジャーを見ながら
定食を食べ終えて熱い茶を飲んでいる。
おかわりすらしていなかった。
失格だ。帰れ。
カウンターのリーマンは窓の外を見ながら
青い顔をしていた。
目の前のチキン南蛮定食は一切れ食べただけである。
もそもそとごはんを口に運ぶが、とても苦しそうだ。
何をしに来たんだ。帰れ。
店を出た。
胃袋は満足げな蠕動運動を開始している。
これで夕飯はいらないな。
そう思いながら僕はおやつを買いに、
お菓子の王様に向かった。
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