偏差値の低いスーパーが僕は好きだ。
ダンボールの切れ端にマッキーで値段を書いてあるような店だ。
キュウリがキウリと書かれていたり、そうめんがソーメンと
カタカナ表記になっていたりして、とても情緒がある。
低偏差値スーパーはかなり安い。
一通り品を揃えるといった考えは皆無で、
その時に安いものをとりあえず提供すれば誰か買うだろ、
という感じの空気が漂っている。
店員も接客マナーなんてものは微塵も身に着けておらず、
何がいくらか、いかに早く袋詰めするかのみを考え動いている。
店はだいたい狭いし、綺麗とは言いがたいことが多い。
日本の丁寧で清潔といったイメージから逸脱した存在だ。
仕入れている製品も他所では見ないものが多い。
原産のわからない菓子類やドリンク、
聞いたこともない メーカーが出している調味料などなど、
非常にロマンがある。
試してみると思いがけず美味しかったり、
値段相応の味だったり、
クソまずかったりとバラつきが激しい。
普段の買い物を刺激的にしてくれる。
あたりだな、と思ったものが次に行った時にはもう無くて、
時の流れの無常さすらも感じさせてくれる。
変に主張が強かったり、ホームページが古臭かったり、
雰囲気が滑っていたりするのもよい。
資本主義が進み、グローバル化とデジタル化に飲み込まれていく
日本の中で生き残るわびさびのようなものすら
そこには垣間見ることができる。
僕は今日も500円を握り締めて、低偏差値スーパーに行く。
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