作家のキューブラーが唱えた
「死の受容への五段階」というものがある。
1.否認と孤立
死という事実を否認し、生が続く他者への
嫉妬やギャップから孤立していく。
2.怒り
なぜ自分が死ななければならないのか、
怒りが沸き立ちこれまでの自分に腹を
立てたり、周りの人間にイラついたりする。
3.取引
死をなんとか避けられないか、
あるいは先延ばしにできないかと
いろんなことに縋ったり善行をする。
4.抑鬱
死が避けられないと認識し、諦めて
絶望感が全てを支配する。
5.受容
死が誰にでも訪れる避けられないものと理解し、
心穏やかに過ごし始める。
こんなステップを踏むらしい。
なるほどこれと比べるべくもないけど、
僕も転勤にあたっていくつかのステップが
段階的に現れた気がする。
ここでは僕の転勤の5ステップを考えたい。
1.困惑
内示初日。上司には格好をつけて
「何も問題ありません。」
と答えたが
その日の午後は何も仕事をする気に
なれなかった。
アパートの更新費用払ったばかりなのに、
とか
定期の払い戻しどうなるんだろ、
とか
そんな些細なことが気になる。
全貌を見つめられていない。
2.積極
仕事を処理し、今のうちにできることを
こなすことを考える。
会いたい人たちにアポをとったり、
粗大ゴミの処理や引越し先の手続き、
書類事務などを片付けていく。
へんなことを書いたりしがちになるのも
この時期。
テンションが上がって妙な気分になる。
全ての景色や物事が輝いて見える。
3.沈殿
落ち着いて考え始める。
忙しさの合間にできたふとした時間に
悲しさや焦りが顔を出す。
輝きはすぐに慣れて日常になる。
流転する日々に馴染んでいく。
誰かと会った帰り道に三日月を見ながら
ベンチに座ってタバコを吹かしたりする。
ここから未知のステップ。
4.到来
2週間後の今頃はビジネスホテルあたりに
僕は身を寄せているだろう。
その時、何を思っているのだろうか。
おそらく、流れの中にいる時、
人は実感というものを持てない。
本当は全てが終わった後にゆっくりと
染み込んでくるものなのだろう。
5.スタート
僕の命が尽きるわけではない。
新しい場所で新しい日々が始まって、
今までの接点がセピア色になる。
そうなってようやく、
本当の実感を得るのだろう。
おわりに
スマホのリマインドが今日の予定を告げる。
本当に今月はたくさんの人たちと会った。
今のところまだ笑って別れている。
弱音を吐いたりするのは苦手
なのだけれど、吐きたくなったら
溜め込まずにどこかに吐き出そうと思う。
弱音を曝け出す素直さも
新しい日々では持ってみよう。
そして、その吐き出し口は
これを読んでいるあなたかもしれない。
ps.部屋のポスターの裏に懐かしい
メモ書きがあって、くすっと笑った後
なんだか無性に泣きたくなりました。
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