この未知の定食・ミールスは
"今までにない"味であり、
味覚を通じて受け取る感情は
美味しい・不味いでなく、
なんなんだこれは…?
というクエスチョンである。
このクエスチョンに対するアンサーを
導き出すために、食べ続けるのだ。
インドカレーを。
・パパド、摩訶不思議な食感
まずミールスを食べるさいには、
パパドを割ってごはんにふりかけて、
そのパパドがまぶされたごはんにカレーを
しゃばしゃばとかけて食べる。
そのため、
もぐもぐシャクもぐもぐパリもぐ、
という風に、
もぐの間にシャクとかパリっとか
奇妙な食感が混じる。
米は米として食べてきた日本人には
あまりに異質な食感である。
さらにこのパパドの風味が
絶妙に米とカレーの中で主張してくる。
その混然一体となったインド的ハーモニーが
よりクエスチョンマークを浮かび上がらせるのだ。
・酸っぱさと辛さが後を引くラッサム
合間合間にこのラッサムをはさむことで、
口の中はさっぱりと、しかしカレーの風味を
損ねることなく、むしろ加速させて
どんどんと食べすすめたくなる。
普段口にしないスパイスが
カレーやパパドの風味の中に紛れ込み、
混然一体だった風味の中に1本の道筋を作る。
ミールスの中の指揮者だ。
すべての味を個性を壊さずにまとめ上げ、
素晴らしい響きへと昇華させる。
・すべてを混ぜてインドになる
最後にはパパドまぶしごはんにカレーと
ラッサムとサンバルをかけて
なおかつピクルスなんかもまとめて
食べるともう口の中は大オーケストラだ。
とどまることをしらない
インド交響曲が味蕾を震わすのだ。
すべての風味を同時に味わい、
混ざりあう部分もあれば形を残す
パンチもあってもうなにがなにやら、
クエスチョンの波に飲み込まれるばかりである。
今、僕の口は南インドを彷徨っている・・・。
すべてを食べ終えて、デザートの
ライスプディングを食べる。
果たしてこのミールスは美味しかったのか?
もちろん不味くはない。
しかしそれ以上に
なんなのかわからない。
何が起こったのかわからないまま
すべては終わりを迎え、
摩訶不思議な幸福を後に残すばかりである。
これはまた、食べに行かなければならない。
そしてインドカレーをめぐる旅は
終わることなく続くのである…!
PS.先日夢に油揚げが出てきたので
これはなんとしても食べなくては、と
豆腐屋で油揚げを買って食べました。
軽く焼いたところにオクラとミョウガを
刻んだものをのっけて、生姜醤油を
さっと回しかけたのですが、
しみじみ美味しかったです。
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