あっ、あれはそういう意味だったのか!
と後になって気づくことがある。
伏線でもなんでもなくて、僕の無知と
配慮の欠如によるものが大きい。
その中でも最大級のことを語る。
あれは小学校低学年くらいのことだ。
僕はその日、家に一人だった。
幼い僕はとにかく家の押し入れという
押し入れ、物入という物入を開けては
中の物をしげしげと眺め、むふーっと
満足しては閉め、また新たな入れ物を
開けるということを繰り返していた。
カラーボックスの中に入った双眼鏡、
ニコンのカメラ、どこかのスノードーム、
僕が生まれる前に行ったであろう旅行の
お土産などなどを見つけては
不思議な気持ちを抱いていた。
そして、アルバムを見つけた。
若い両親を見て僕は笑い転げた。
父はなかなかハンサムだったのだが、
問題は母である。
母は分厚いメガネにぐるぐるの天然パーマ、
ガリベン図書委員といった様相だった。
(勉強はあまりできない)
一枚見ては笑い、一枚見ては笑いを
繰り返して、満足して僕はアルバムを
元の場所に戻した。
だが、本当の"ブツ"はアルバムではなかった。
それはたしか何らかの引出しの
奥の奥の方に入っていたと思う。
僕はそれを手に取った。
六角形のピンク色のケースの
中に何かが入っている。
口紅だろうか?
僕は中を開けてみた。
ケースと同じピンク色、消しゴムより
少し大きいくらいの楕円形の立体が
すっと僕の手のひらに出てきた。
なんだこれは?
スイッチも何もない。
一体何に使うものなんだろう。
僕はそれを軽く叩いたり、
振ってみたりした。何も起こらない。
よく見るとその流線形の物体の真ん中に線の
ようなものが入っていることがわかった。
僕はそこからまた何か出てくるのかと思い、
ひっぱってみたが、開く気配はない。
何の気なしにひねってみた。
ヴヴヴヴヴヴヴヴヴ!!
僕の手の中でそれは震えた。
今にも飛び立とうとするカナブンのように。
ヴヴヴヴヴヴヴ!!
なるほど…
これは震えるものなのだ!
僕はギミックを理解したことに満足し、
ふたたびケースの中に入れて、
引き出しに閉まった。
数年後、アダルトな動画を見た際に、
なぜか懐かしいような不思議な気持ちに
僕は突然襲われた。
性が生の源であるから種としての
懐かしさを感じるとか、そういう
類の話ではない。
単純に、懐かしい…
女性にあてがっているこれは…
もしかして……
あっ、
あれかぁ~!!!!!
あれはそういう意味だったのか!!!
その後、念のため当時の引出しを探して
みましたが、ありませんでした。
PS.最近6時半にアラームをかけているのに、
起きるのは7時半です。なんで?
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