一度だけピンクサロンに行ったことがある。
忘れもしない、店名は
「ハッピーハッピー」
広島に友人と旅行に行ったときのことである。
この友人とは何回か旅行に行ったことが
あるのだが、彼は夜になるたびに、
「エロい店いかね??いくっしょ??」
と言ってくる。
この時の僕の心情は
「なんでお金払ってそんなとこ行くん?」
という考えが1割
「旅先だし行ってもいいかな…」
という考えが1割
「ED気味だから意味ねーよ」
という考えが8割
となっている。
広島の前に金沢に行ったときも彼は
「おっパブ行くっしょ↑↑↑」
と意気揚々に言ってきた。
お酒が入っていたこともあり、
何かに負けたくなかった僕は
「行ったろうじゃんよぉ!!」
と返した。
そしておっパブの入った雑居ビルに入った時の
キャッチと輩とホストが詰込まれた
煙もっくもくのロビーを見て、
「やっぱり帰るぅ!!!!」
と僕は叫んだ。
さながら歯医者に入った子供であった。
そこから1年後、僕はピンクサロンなる
場所へ足を踏み入れることになった。
「明朗会計!5000円ぽっきり!」
と書いてある。
スマホで調べまくっている友人も
「ハッピーハッピーになるっしょ↑↑」
とノリノリだ。
立教大卒の彼も今は偏差値10、
これでは鈴蘭高校しか入れないだろう。
店に入る。
しかし前述したとおり、果てることは
ないだろうなぁという気持ちが強い。
漫画喫茶のフラットルームのような
ブースに入り、ウーロンハイをすする。
ほどなく、嬢が入ってきた。
身長は160cm程、中肉中背、20代後半から
30代前半ほど。D~Eカップ。
暗くて顔は良く見えないが、
美人でないことはわかる。
「こんばんわぁ」
広島弁のなまりである。
なるほど、地元嬢か。
観光客であること、友達と
来たことなどをちらちらと話す。
美人ではないが、愛嬌はある。
おそらくこれが「やれるブス」と
呼ばれるタイプの女性だろう。
「こういう店は始めてなんですよぉ」
僕は正直に言った。
「旅行の勢いで来た感じなん?」
柔らかな広島弁が耳をくすぐる。
「そうなんですよぉ」
声が上ずる。へんな笑いが出る。
「どすけべやなぁ❤︎」
どすけべ…。
久々にそんなワードを聞いた…。
どすけべか…。
どすけべ。
うん、悪くない。
そして、コトが始まる。
嬢の手が僕のモノに伸びる。
慣れた手つきでこねくり回される。
しかし、僕は50%の状態である。
嬢が僕のモノを咥えて、
ハーモニーを奏で始める。
僕は80%弱の状態を
ずっとキープしている。
100%にはならない。
僕は幽遊白書の戸愚呂を思い出していた。
僕のモノはさながら幽助に会わない戸愚呂。
100%の力を発揮することができず、
常にその場を求めている…。
それに倣ってか、
求めた僕は、嬢の体を探検し始めた。
しかしなぜだろう。
なんの興奮もない。
「夏に広島はヒロシマになる」
8月の広島は原爆投下後の「ヒロシマ」に
戻るという。日常の香りに少しだけ切なさが
混ざりこんで、夏の熱に解けていく。
それが「ヒロシマ」…
僕のこの虚無感も「ヒロシマ」が
もたらしたものなのだろうか?
そして嬢の秘所の暖かさは
切なさが溶けた夏の熱なのか…?
わからない。
僕には何もわからない。
ただひとつはっきりしてることは、
予想通り、僕は果てないということだ。
そして、ちいさな音で鈴のアラームが鳴った。
プレイが終わったのだ。
「お兄さんは口ではイカん人なんやねぇ」
イこうと思えばイけたかもしれない。
ただ、金銭を払って性的なサービスを
受けるという立場で、そこまで積極的に
なることができなかった。
後前日にソロプレイをしていたのも
悪かったかもしれない。
というかたぶんそれ。
2回もソロってたし。
僕は悲しい笑みを浮かべて、
されるがままにおしぼりでモノを
綺麗にされていた。
結局僕は何も手に入れず、何も失わず、
店から出ることとなった。(5000円支払)
案外そんなものなのかもしれない。
店を出ると、缶コーヒーを飲んだ
友人がニヤニヤしてこっちを見てる。
彼は満足したようだ。
「どうだったよ?」
ニヤケ面を更に加速させて
彼は僕に聞いてきた。
僕は彼に言った。
「全く、アンハッピーだったぜ」
PS.サプリメントの亜鉛、割と効きます。
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