マイルの期限が切れそうだから、
使わなければならない、という理由で
航空券を取る必要があった。
航空券を使うのだから、やはり
新幹線で行くような場所には行きたくない。
せっかくなら行ったことのない県に
行ってみたい。高知。高知に行きたい。
高知便は2か月先まで満杯であった。
みんなそんなにカツオが食べたいか?
俺は食べたい。酒も飲みたい。
仕方なく高知をあきらめて、第二候補の
山形は庄内空港に向かうことにした。
後にほんのり思ったが、マイルが
切れるのは2025年だったかも…
しかし確認するのも癪。
キャンセルしたら3,000マイルが
キャンセル料として取られる。
より癪である。僕はマイルの期限は
2024年だったのだ。誰がなんと言おうと、
2024年にマイルが切れるから今
チケットを取って良かったのである!
と思い込んでそのまま強行する
ことにした。
庄内にはそこまで栄えている町はなく、
少し北上した酒田が良いらしい、と
googlemap が教えてくれた。
酒田…カクテル「雪国」を作った
バーケルンがあるということだけ
知っている。それ以外の情報はない。
前々日、前日と記録的な大雨が降ったことも
あり、果たして観光などできるのかと思い、
宿泊予定の宿に連絡したところ
「市内はぜんぜん大丈夫でぇす」とのこと。
およそ接客業とは思えぬ態度ではあったが、
行けるのはうれしい。そしてたった1時間強の
フライトで山形に着いたのである。
空港からバスで酒田までは
30分くらいで行ってくれる。
アクセス◯である。
おまけに飛行機の客に合わせて
適当な時間に発射するらしい。
この辺りの朗らかさ、非常に
牧歌的で良いなと思う。
出発前に調べた情報によると、
山形はラーメンが有名らしい。
しかも、朝からラーメンを食べる
朝ラーという謎の文化があるらしい。
朝からラーメン…生きてきて
朝からラーメンを食べたいと
思ったことが果たしてあるだろうか。
オール明けならまだしも、
寝起きにラーメンとはかなりの
ヘヴィブレックファストだ。
まぁしかし、
郷に行っては郷に従え。
酒田のバス停からてくてくと
10分ほど歩き、ラーメン屋に入った。
しっかりとした醤油ラーメン。
酒田ラーメンと言うらしい。
僕が入った店では魚介の出汁が
強く、それでいて食べやすい、
日本人は好きだろうな、という
味であった。僕も好きであった。
また、酒田ラーメンはワンタンメンが
デフォルトであるらしい。
このワンタンの皮がとても薄く、
まさに "雲呑" 、雲を呑むような
食感であった。なお、当然のことながら
僕は雲を飲んだことは無い。
酒田ラーメンは量が多かった。
普通のラーメン屋より
0.5人前ほど多いだろうか。
朝も昼も変わらない量。
ウチはしっかりお客様に
ラーメンをお腹いっぱいに
食べさすからナ!という
力強い気持ちを感じる。
朝から1.5人前ほどのラーメンを
食べた僕はお腹をさすりながら
お店を後にした。
酒田は昔から港として栄えた
歴史があるらしい。そこで
130年前から最近までお米を
貯蔵していた倉庫が観光名所と
なっているらしい。山居倉庫。
そこに行ってみることにした。
近くの川はちゃぷちゃぷしてた。
今日あたり強い雨が降ったら
いよいよヤバそうに見える。
とりあえずは曇りで保っている
今日の天気に感謝して歩く。
山居倉庫は既にお米の倉庫としての
役割を終えており、今は観光ショップ
として酒田のもろもろを売っていた。
ラフランスのサイダーと庄内メロンの
ブッセを買って食べながら歩いた。
早くもやる事が無くなったので、
とりあえず宿に荷物を置くことにする。
旅の荷物は軽ければ軽いほど良い。
時間もお昼時に近づいていたので、
川内山形屋という焼きそば屋に向かう。
なんでも、ソースを後からかける
チープ美味しい焼きそばらしい。
店の前に着いたが、休みであった。
すわ、なんてこった。
既に口は焼きそばの口になっている。
こういう時はなんとしても
焼きそばを食べたい。よしんば
焼きそばでなかったとしても、
ソース味の何かを食べたい。
なんて思って軒先の日陰で
GoogleMAPを開いたら、
近くに都合よく焼きそば屋があることが
わかった。さっそく向かう。
1分ほどで着く。早い。
大阪風の焼きそば・お好み焼き屋で
ソース後がけではなく、本格的な
お店であったが、今はとにかく
ソースを口に運びたい。
お店に入り、焼きそばとビール(小)。
手書き風のメニューが置いてあり、
好感が持てる。たぶんここはいい店。
そんなことを思いながらビールを
飲んでいたが、ふと手が当たって
ビールをまるまるこぼしてしまった。
まだ2割も飲んでいない。
間抜けなことをしてしまった…。
店のおかみさんが あらあら、といった
様子で手早く付近を持ってきて
テーブルを拭いてくれる。平謝り。
そのままグラスをひょいと持っていき、
改めてビールを入れてくれた。
ありがたい…
とてもありがたい…
のだが、ここで一つの疑問が
頭の中に去来することになる。
そう、このビールは果たして2杯目の
金額がかかるのだろうか。
もちろん、僕は再度ビールを頼む
心づもりではあった。
それは間違いない。
だが、おかみさんは何も言わずに
ビールを持ってきた。
この時、3つのパターンが考えられる。
①2杯分のビールが会計に追加されてる。
僕はそれを支払う。
②1杯分のビールだけ会計に入っている。
僕が2杯目の料金も払うと言い、
2杯目の料金も支払う。
③1杯分のビールだけ会計に入っている。
僕が2杯目の料金も払うと言うが、
おかみさんが固辞して1杯分だけ払う。
心の中では2杯払う気が満々である。
こちらの落ち度。違いない。
けど、けどさぁ、当たり前のように
会計にプラスされてたら
それはそれでちょっと…って
思っちゃうのが人の心では
ないでしょうか…!
とかなんとか考えながら焼きそばを待った。
焼きそばは美味しかった。
シャキシャキの野菜とちょっとだけ
焦げたソースが香ばしくて、
結構な逸品であった。
ここで食べて良かった。
と思いながら会計をした。
おかみさんはビール一杯分の
会計しか入れていなかった。
早くもパターン①は回避。
いや、2杯目払いますよ、と
僕は言葉をかけたが
おかみさんは軽く笑って
いいからいいからとそのままの
会計を進めた。
僕は感謝して、会計を終えた。
1番ありがたいパターン③。
おかみさんの完璧なあしらいに
脱帽しつつ、僕は店を後にした。
それにしてもやることが無かったので、
僕は美容室に行くことにした。
旅先で髪を切るのが好きである。
一度宮崎に出張中に空いた時間で
切って以来、なんとなく出先で
髪を切るのに言いようのない
快感を覚えている。
予約がとれた美容院は中年の女性が
3人で切り盛りをしている、
アットホームなところであった。
そして思いがけず、上手だった。
カットに合間におすすめの観光地を聞く。
山王くらぶという、昔料亭だった
ところを博物館に変更して
酒田の文化を紹介した場所があるらしく、
そこに行くことにした。
傘福という、飾り物をたくさん吊るした
傘を展示していた。なんとなしに
徳を感じながら、展示の説明を
ほーん、と読んでいた。
古い建物だから全体的に暑く、
汗をたらたらとかきながら
順路に沿って歩いて行った。
近くに即身仏を展示している寺が
あるようで、そこにも向かうことにした。
即身仏≒ミイラ。初めて見る。
展示室は厳かな空気であった。
撮影禁止の涼しい展示室で、
1人で即身仏をぽけっと見ていた。
修練を詰んだとはいえ、餓死を
迎えるというのはどんな気持ちだろう。
それは徳とか精神とかを超える
生への執着があるのでは…。
なんて凡庸な頭で考えながら
20分ほど即身仏×2を眺めた。
チェックインできる時間に
なったので、とりあえず宿に
向かうことにした。
何も考えずに予約した旅館は
非常に渋めな旅館であった。
シャワーで汗を流して、
歯を磨き、コンタクトを外し、
少し眠ることにした。
隣の部屋どころか下の部屋の
子供の声まで聞こえるような
旅館だが、それも風情と受け止めて
布団に潜り込んだ。
早起きのせいもあってか、
すぐに眠りに落ちた。
とはいえ、眠ったのは1時間程度。
お腹も空いたし、夜の酒田に
繰り出すことにした。
山形は酒田、日本海がほど近い。
となれば魚に日本酒である。
海鮮系のお店に入った。
文句なく美味しい。
日本酒は1瓶(300ml)からしか出さない
ストロングスタイルな店だったが、
鯵の刺身と塩焼きを食べてたら
あっさりと無くなった。
日本海側の居酒屋はやっぱり美味しい。
その後3件ほどハシゴして、
翌日軽く二日酔いになりながら
帰りました。おしまい。
ps.今年の夏休みはジムとランニング、
2回のヒトカラに行ってたら終わった。
30にしてヒトカラ。
95点が出たので満足です。
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