先輩の笑顔で僕はタバコが吸いたくなった

先日大きなミスをした。

外にも発信していたことなので、
本部をまたいでの対応が必要となった。

ミスが発覚したときの気持ちは
筆舌に尽くし難い。

冷たい汗が体から吹き出る。
なのに体は冷たくなっていく。
頭は散らかり、思考が解ける。
心臓がやたらうるさい。
喉が渇いて言葉が上手くでない。
全身の毛が逆立っているようだ。

落ち着け。落ち着け。

ひたすらに心の中で唱える。

落ち着け。落ち着け。

ミスをした時こそ平静でなくては
ならない。
起きたことは戻らない。覆水盆に帰らず。
大事なのはとにかく今だ。
今やるべきことを冷静に見つめるんだ。

なんとか対応が終了した。
昼前に発覚したミスだが、17時には
なんとかクロージングすることができた。

僕のミスで何人かの時間が失われた。

なにより直属の先輩が一番対応に追われた。

悔しく、申し訳なく、ふがいなかった。
油断していた訳ではない。
しかしミスは起こった。

僕は先輩に頭を下げた。

先輩は笑って
「大したことじゃないよ。」
と言った。

先輩の笑顔が、僕を責めない姿勢が
なにより僕に深く突き刺さった。

悔しい悔しい悔しい悔しい。
タバコが吸いたい。

勤務が終わり、コンビニでピースを
買って喫煙所ですぐに火をつけた。

ゆっくりと吸ってゆっくりと吐く。

先輩の言葉と笑顔を思い出す。
懐の深さをまざまざと見せ付けられた。
僕もあんな大人になれるだろうか。

外に出るとセミが鳴いていた。

神楽坂は祭りが行われていて、
人でごった返していた。

行き場の無い感情を内に抱えて、
僕は地下鉄の階段を下りていった。

今日も何かを間違えた

日々の中で間違えたこと ずれたことを綴ります。 岩崎キリン:iwa191cm@gmail.com

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