●まな板
僕は日常的にまな板に頭をぶつけてる。
まな板を置く場所に迷ったので、
シンク上の食器スペースにまな板用の
アイアンフックを付けてそこに置くことにした。
その結果、僕は洗い物をするたびに頭を
こつんとまな板にぶつけることとなった。
間抜けな話である。
そこでふと考えた。
僕以外にまな板に頭をぶつけたことがある人が
いったい何人いるのだろう。
そこには十人十色のまな板ぶつけられストーリーが
あるはずである。
あるものは夫婦喧嘩で、あるものは
ニトリの品出し店員で、あるものは
厳しい料亭の見習いであったりするのだろう。
まな板に頭をぶつけた人を招集し
まな板ぶつけ座談会を開いてみたい。
30分めちゃめちゃにハイテンションで
話し合って、2度と会わない。
そんな会。
●奇妙なキス
一度だけ友人に連れられてクラブに行った時。
はじめて行ったクラブは騒音に
騒ぐ人いきれでむせ返っていた。
僕はEDMやクラブミュージックに
そんなに熱狂的になるタイプではない。
なんだかなぁと思いつつ薄い
ジントニックかなんかを啜っていた。
僕はトイレから戻り、あまり人のいないエリアに
置かれていた小さな丸テーブルに片膝をつき
ナンパに失敗している友達を眺めていた。
ふとあたりを見回すと、
やたらにメイクの濃い年齢不詳の大柄の女性と
目があった。
その女性は視線を切らさずこちらに歩み寄ると、
僕の頬に手を添えた。
なんだと思う間も無く、顎を上げられキスされた。
表情を全く変えず、女は喧騒のフロアへと
ゆっくり歩いて行った。
なんだったんだろう。今のは。
僕の心を一切動かさず、それでいて
印だけ残していくような奇妙なキスだった。
僕は追いかける気もせず、
また薄い酒を啜った。
●割れた珪藻土マット
寮の部屋に入ってからしばらくして、
洗面室の片隅に真っ二つに割れた珪藻土マットを
発見した。
前の入居者のものだと思う。
が、どうやったら珪藻土マットが
真っ二つに割れるのだろうか。
どんな背景があって珪藻土マットを
真っ二つにしてしまったのだろうか。
前入居者は穏やかな人だったが、
そんな人でも珪藻土マットを割りたい日が
あったのだろうか。
気になるけど少し怖くて聞けない。
僕はゾクっとしながら、新しい部屋での
生活に思いを馳せた。
ps.ひさびさに会って太ってたらちゃんと言ってね
ひさびさってほどでもないんだけどね
↓引っ越しで荷物を詰めちゃって食器がなくなり、
コーヒーカップでレトルトカレーの食べた時
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