真夜中温泉愛好会

真夜中温泉愛好会
三連休の中日の午前5時、スマートフォンは
メッセージの通知音を告げた。

「温泉に行こう」

要約すると、内容はこの通りである。

そしてわらわらとアホな男たちが集まった。

僕らはつどつど夜中に出発をして
温泉に入りぐだぐだとして朝に帰る、
ということをしている。

これは「予定」とか「計画」といった
カッチリした行動にドロップキックを
くらわすように僕たちは動く。

俺たち行きあたりばったりで
温泉入るその後どっかでシーシャ吸う、
という適当of適当in the 適当に動く。

とりとめもない話、コンビニで吸うタバコ、
流れ去る田舎の景色。

僕らは正しく若さを燃やして生きている。

草津温泉についた。
さっそく近くの浴場に入る。

「これは…熱いね…」
「熱い!熱い!」
「あっつぃ…」

皆が口々に言う。
草津温泉はとても熱い。

もう草津温泉に来るのは4回くらいであるが、
何回来ても慣れることはない…

それでも何とか入浴し、水で冷やし、
ぼーっと休憩する。
なんだかサウナみたいになってきた…
なかなか整いそうだ…

めいめいがゆでだこ状態になったところで
浴場を後にする。

湯畑できゃっきゃした後、もう一度別の浴場に入り、
車へと戻る。深夜の草津は物悲しさがあってよい。

なんでもない路地にもなんとなく味を感じてよい。



さて次なる我々の進路は、尻焼温泉である。

温泉to温泉。刻、午前三時である。

うとうとしていると到着していた。
シーシャをもって下る。

寒い。とにかく寒い。
ダウンジャケットを着てくるのだった。

足指の感覚が冷たい→痛い→麻痺と
スムーズに移行している。

「シーシャを作って温泉に入り、
 温泉に入りながらシーシャを吸おう」

一人がそう言った。

異論などあるわけがない。

僕は震えながらシーシャを作った。

ちゃんと煙が出ることを確認すると、
すぐに服を脱ぎ温泉へと入った。

気持ちがいい……
とても気持ちがいい……

自分の身が解凍されていく…
そして温泉に入りながらシーシャを吸う。

あぁ……

至福…
しあわせである…
滅多にできない贅沢だ…

星空と月明かりが温泉の煙と
シーシャの煙を煌々と照らす。

なぜそんなとこまで温泉に行って
シーシャを吸うのだ、と問われても
答えることはできない。

ただ最高である。

ボキャブラリも何もない、最高、
ただただ最高なのだ。最高。

そして再びシーシャを作り
ひえっひえになった。

「おじいちゃん」「遭難者」「凍死体」

僕が震えれば震えるほどに
僕を形容する言葉がどんどん
辛辣なものとなっていく。

なんとかまともな青年男性に戻るべく、
ふたたび温泉へと入った。

そして温泉を出るころには
朝陽が完全に上っていた。

一日の始まりである朝が
お終いの合図となった。

帰ったら洗濯、洗濯が終われば
長い長い昼寝だ……

オール明けのベッドの官能的な
感触に思いを馳せながら、
僕は車のドアを開けた。

PS.今年はまだ餅を食べてないです。食べたい!

今日も何かを間違えた

日々の中で間違えたこと ずれたことを綴ります。 岩崎キリン:iwa191cm@gmail.com

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