手に取って、また戻す。
また手に取って逡巡し、また戻す。
店を出ようかと思ったが、
足を止めてまた戻り、また手に取る。
意を決してレジへ持っていき、購入する。
ついに買ってしまった。
新明解国語辞典。
前々から国語辞典が欲しかった。
水タバコを吸いながら国語辞典を
ぱらぱらとめくって
ふふふ…こんな言葉があるのか…
と見るのは素敵だなぁと常々思っていた。
●国語辞典は答え
曖昧な言葉の定義をバシッと
答えてくれるのが国語辞典である。
僕は早速引いてみた。
引いてみると言う言葉もいいではないか。
ふふ。知的な香りだ。
【恋】
特定の相手に深い愛情をいだき、
その存在が身近に感じられるときは、
他のすべてを犠牲にしても惜しくないほどの
満足感・充足感に酔って心が高揚する一方、
破局を恐れての不安と焦燥に駆られる
心理状態。
うーむ。素晴らしい。素晴らしいぞ。
ただ浮かれるだけでなく、
不安までしっかり書いている。
すべてを犠牲にしても惜しくないほどの
満足感・充足感か。
うーむ。
これはなかなかすごい。
これからは生半可に
恋をしているなんて言えない。
心理状態。すごい。
じゃあ、次に引く言葉はもちろん
【愛】
個人の立場や利害にとらわれず、
広く身のまわりのものすべての
存在価値を認め、最大限に尊重していきたいと
願う、人間に本来備わっていると
とらえられる心情。
すごい。すごすぎる。
本来備わっているととらえられるのか。
もちろん説明はこの辞書の編集者が
みんなで喧々諤々の議論をして決まるはずだ。
そしてその議論のなかで
愛とは人間に本来備わっていると
とらえられる!
と決めたわけだ。
大の大人達が愛について真剣に
向かい合って考えているのだ。
うーん。深い。深いぞ。
個人の立場や利害にとらわれず、
というところも非常に良い。
【愛情】
〔夫婦・親子・恋人などが〕相手を自分に
とってかけがえのない存在として
いとおしく思い、また相手からもそのように
思われたいと願う、本能的な心情。
相手を思うだけでなく、
相手からも思われたいと願うことも
愛情の一面として明記している。
なんと…。
見返りを求めても良い、と
言ってくれているのだ。
というよりそれは本能的な心情だと
言っている。
これはすごい。
与えた愛情を相手に求めてるうちは
本当の愛情ではない
という言葉もあるが、
そんなのは蹴散らしている。
人間の欲までカバーしてくれている。
新明解国語辞典はただ事実を羅列している
だけではない。
新明解国語辞典の見解をドンと強く
打ち出しているのだ。
まさにこれこそが辞書の素晴らしさだ。
また、例文も面白い。
【つもり】の例文を見てみたい
(2)相手の意思・意向については
「君は会社をやめるつもりか」
「今夜彼と会うつもりだね」
などと問いかけの形をとったり確認を
求めたりする表現で用いられる。
この君の状態が気になってしょうがない。
彼といったいどういう関係で、
今夜いったいどんな話になるのか、
そして会社を辞める事態になるのか。
この問いかけている人も気になる。
もうラブコメの三角関係すら
伺えてしまうではないか。
ただの例文でここまで人の心を
惹きつけてしまうのか。
脱帽である。
おうち時間を満たすのは間違いない。
国語辞典である。
一生をかけても読みきれない本。
新明解国語辞典。
皆も国語辞典を引いて欲しい。
きっと楽しいと思う。
必ずやあなたの心に潤いを与えるだろう。
ps.斜めのエスカレーター初めて見たよ。
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